支援制度はあっても…働き続けた人の1割が会社を変えた
■治療費をリボ払い
罹患時に派遣社員だと、もっと悲惨である。金銭的に余裕がないため、居づらかろうが陰口を言われようが、休めないし、辞められないのだ。
デザイン関係の仕事をしている横浜在住の女性(55)は、3年前、軽度の膠原病で通院していた総合病院の内分泌科で胸のしこりについて相談したところ、乳腺科を紹介されて乳がんと分かった。ステージⅠで大きさは1センチほどだったが、最初に医者に話したのは「お金がない」ということ。貯金はなく、民間の医療保険にも入っていなかった。独身の一人っ子で頼る兄弟姉妹はおらず、母は高齢。仕方なく5歳の時に母と離婚した父に連絡し借金を頼んだが断られる始末。社会保険組合に申請すれば上限が8万円になると教えられ、なんとかクレジットカードのリボ払いで支払ったという。
休んだのは入院した1週間だけ。退院の翌日から出社した。その2週間後から1カ月半、放射線治療で通院することになったが、11時出社で了承を取り付けると、毎回8時に受け付けを済ませて一番に治療を受け、会社に滑り込んだ。
「リボ払いにした治療費は、今も支払いが続いています」(本人)
「がん患者は働かなくていい」という議員がいる政権与党に、病気に苦しみ、仕事で苦しむ会社員がいるなんてことは、理解できないだろう。