卵巣と子宮を摘出…やなせななさん手術決意に医師の信念
その数日後に入院して、全身麻酔の検査をしました。「大掛かりなことをするんだな」と思ったと同時に、若干心細くなったのを覚えています。それでもまだ、がんだとは夢にも思っていませんでした。
■「女性として抵抗」も納得して受けた摘出手術
家族による「子宮体がん」の告知は、その検査入院の結果を聞きにいく前日でした。病院から「診察室で取り乱さないように家族から告げておいてください」と数日前に言われていたそうです。
家族から告げられた翌日に病院に行くと、担当医から説明があり、子宮と卵巣の全摘出手術の話になりました。とても初期だったことで転移もなく、結果的にリンパ節は取らずに済んだのですが、やはり女性としては子宮と卵巣をすべて取ってしまうことに抵抗はありました。「女性でなくなるんかな?」「結婚できなくなるんかな?」といった俗っぽい不安もありましたし、子供も欲しかった。
でも、主治医から「子供は諦めなさい。あなたが生きていくことが一番大事なんですから」と諭されました。その先生は昔、20代の患者さんの懇願を聞き入れて卵巣を片方残したことで、がんが再発して死なせてしまったそうなんです。「何と言われても私は切る。そこは譲れない」という先生の強い信念が胸に響き、納得して手術を受けました。