卵巣と子宮を摘出…やなせななさん手術決意に医師の信念
手術の前夜、高層階の病室から街の明かりを見ながら、「子宮と卵巣がなくなるってどうなんだろう……」とずっとずっと考えて、「こんな種類の悲しみはこれまで考えたことないな」としみじみ落ち込みました。どうしようもなく泣けてきたので「いかんいかん、早く寝ないと」と思って看護師さんが準備してくれていた睡眠導入剤を飲んでやっと眠りに就きました。
子宮と卵巣を取ってしまったことを話せるようになったのは、手術から2年後ぐらいです。それまでは、友達にも言えませんでした。女性ホルモンが欠乏していることを悟られないように、コラーゲンや高級化粧品を買いまくった時期もありました(笑い)。でも、講演会で病気の話をするようになると、「私もそうです」という人たちがいっぱいいて、「みんなしんどいねんな」と気づきました。そして、彼女たちに優しくされて「こんなに明るくなれるんだ」と癒やされたのです。
病気になって「人は死ぬんだ」と思いました。だから退屈だと思ったり、ケンカなんかしていたらもったいない。もちろん感情の波はありますけど、今は自分の根底にそんな“軸”がある気がします。