猿や犬もついついマネ…なぜ「あくび」はうつるのか?
「あくびはうつる」というのは、皆さんも経験のあることだと思います。真面目なつまらない会議などで、誰かがこらえ切れずにあくびをすると、それを見ていたあなたも、つい同じようにあくびをしてしまう。よくある話です。眠くもないのにつられてあくびをしてしまうのはなぜでしょう?
たわいのない感じのするこの疑問ですが、実は最新の脳科学でも、研究が続けられているホットな話題でもあるのです。
あくびがうつる、という現象は人間のみならず、チンパンジーや猿、犬でも認められていて、無意識に相手の動作のまねをする「反響現象」という名前がついています。これは赤ちゃんがお母さんのまねをする時に働く、物まね神経(ミラーニューロン)の働きによると考えられています。
今年の生化学の専門誌に掲載された論文によると、あくびがうつるという仕組みは、脳の運動野という領域の興奮によるもので、それを抑える働きも脳にはあるのですが、いろいろな原因でその働きが弱まることがあるようです。
面白いことに、あくびをしてはいけない、という指示をすると、かえってあくびはうつりやすくなることも分かりました。よく無意識にしている癖を、やらないように指摘されると、かえってやってしまう、ということがありますが、そこには科学的な根拠があったのです。
人間の脳というのは、まだまだ不思議な働きが隠れているようです。