胃がん治療に新たな選択肢 注目「CLEAN NET」とは何だ?

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 さらにメリットは、腹腔鏡で筋肉は切っているものの、粘膜はそのままなので、胃の内容物が外にこぼれるリスクがゼロであることだ。腹腔鏡で胃の外側から切れ目を入れ、がんを切除する場合、その切れ目から胃の内容物がこぼれるリスクがある。そこにはがんが含まれているので、最悪の場合、がんが腹部にまき散らかされることになるのだ。これが完全に回避されるのは大きい。

 内視鏡と腹腔鏡を組み合わせたこの治療法を、井上医師は「CLEAN―NET」と名付けた。「露出しない方法を使った腫瘍に対する内視鏡と腹腔鏡を組み合わせた治療アプローチ」という意味と、“胃の内容物が外にこぼれない”ことから「清潔な網」の意味をかけている。健康保険適用だ。

「『CLEAN―NET』を無理に推し進めていけばいい、とはまったく考えていません。広範囲の胃切除術がベストの患者にこの治療を行えば、がんの取り残しにつながる。患者さんの状態に応じて最も適した、かつ過不足のない治療を行うべき。そういった意味で、腹腔鏡による手術と、内視鏡による胃がん剥離の間に新たな治療法ができたことは、選択肢の幅が広がり、患者さんにとってメリットがあります」

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