精子の「質」を落とす犯人は活性酸素 検査法と不妊治療法
では、何が精子のDNAを損傷させているのか。男性不妊には酸化ストレスが関与しているという数多くの研究報告があり、DNA断片化の犯人は体内で発生する「活性酸素」だという。
「活性酸素はさまざまな病気の原因になることが知られていますが、実は細胞へのダメージについて最初に報告されたのが精子細胞なのです。酸素濃度の高い環境では精子の運動率が低下することや、抗酸化剤を投与すると運動率が回復することも確認しています」
そして、SCSAの結果を得て同院が積極的に行っている治療法が「抗酸化療法」。コエンザイムQ10やビタミンC・Eなどの抗酸化物質配合のサプリ(SOサポート:株式会社パートナーズ製)を男性不妊の患者に飲んでもらっている。
同院の研究(168人対象)では、服用前の平均の精子濃度2630万/ミリリットルが半年後には4900万に、精子運動率は25.2%が半年後には41.3%に改善。48人が半年以内に自然妊娠で、32人が生殖補助医療で妊娠した。
今後の不妊治療は、まず精子機能を回復させてから人工授精や体外受精に臨む時代になりそうだ。