フルマラソンで風邪リスク増 運動後の免疫力低下に要注意
樹状細胞は大きく2つに分かれる。ウイルス感染に対して免疫機能を発揮する「pDC」と、細菌感染に対する「mDC」だ。1回の運動後の樹状細胞の活性(①)は、pDC、mDCともに運動直後、2時間後、14時間後と低下。疲労度と活気度の調査では、運動後に疲労度は増加し、活気度は低下した。
継続運動後(②)でもやはり、どちらの樹状細胞も活性が低下。活気度は変わらずだったが、疲労度は増加した。
「激しい運動の継続で樹状細胞に“オープンウインドウ”状態が起こり、疲れと免疫に関係があることを、世界で初めて確認できました」(島田医師=以下同)
■乳酸菌に改善効果
次に行ったのは、どうすればオープンウインドウを避けられるか。実は食品メーカー「キリン」の研究で、2つの樹状細胞を直接活性化させる唯一の乳酸菌(プラズマ乳酸菌)の存在が確認されていた。世界各国で免疫力アップの乳酸菌の研究が行われ、「そういったものはない」という説が有力であったが、それを覆したものだ。
島田医師はキリンと共同で同大運動部男子学生51人を対象に、プラズマ乳酸菌を摂取した際の効果を検証。26人はプラズマ乳酸菌を、25人はプラセボ(偽)を摂取。結果、運動時にプラズマ乳酸菌を摂取していた群は、pDCがプラセボに対して有意に高値に。mDCはプラズマ乳酸菌群に有意な変化はなかった。