糖尿病10年 非典型的サインの低血糖で意識障害起こし昏倒
低血糖らしいと悟り、ゼリー飲料などを口に含ませようとしたが、もはや、まともなコミュニケーションが取れない。僕はそのまま、駆けつけた救急隊員の手で病院まで搬送された。
その間の断片的な記憶として残っているのは、「何者かが僕を拘束してどこかに拉致しようとしている」という感覚だけだ。
血糖が枯渇して体が不随になっていただけなのだが、それも怪しい薬を盛られたかのように妄想していた。
次に覚えているのは、診察台の上で意識を取り戻した瞬間。点滴経由でブドウ糖を投与され、一命を取り留めたのである。
上からのぞき込む知らない顔の女性が看護師だと気づき、状況を正確に理解するのに、ずいぶん時間がかかった。
僕にとってももちろん恐ろしい経験だったが、妻の味わわされた恐怖はそれ以上だっただろう。