提供精子を用いた非配偶者間人工授精 国内で1万人が誕生
海外では「精子バンク」業者があり、カタログのドナー情報(目や毛の色、身長、体重、学歴、宗教など)から選ぶことができるが、日本は営利目的を禁じているので精子を選ぶことはできない。各医療機関が独自のルートで精子を提供してもらっている。同院の場合は、20~27歳の医学部在学中の運動部員をドナーの条件にしている。AID実施の際には、夫の血液型と同じドナーが選択され、その他の身長などの希望は考慮されない。
「生まれてきた子供は法的にもご夫婦の正式な子供ですが、実際はご主人の子供ではないので精神的な問題が残ります。大切なことは、ご夫婦の子供として愛情をもって最後まで育てるという確固たる意思です。治療を開始する際は、倫理委員会の承認並びにカウンセリングを最低2回は受けてもらう必要があります」
ただし、人工授精自体の成功率は5~10%程度で高くない。AIDの費用は施設で異なるが、同院の場合で1回8万円ほど。通常の配偶者間の人工授精を目安にすると5、6回でようやく妊娠するケースが多い。また、受ける女性の年齢や排卵状態によって成功率は大きく左右されるという。