満腹なのになぜ? “別腹”で大盛りアイスを食べられるのか
散々飲み食いした若い女性が、「デザートは別腹だから」と言いながら追加で山盛りのアイスクリームをペロリ。レストランで時々見かける光景だが、なぜお腹いっぱい食べたはずなのに別腹でデザートが食べられるのか? 畿央大学健康科学部健康栄養学科の山本隆教授が言う。
「別腹には脳のなかの前頭連合野と呼ばれる領域が関わっていることがわかっています。理性的に行動したり、物事を分析したりするなど知的活動を担う場所です。おいしそうだと予想したり、以前食べておいしかったとなどの経験が思い出されたりすると、前頭連合野から摂食中枢に信号を送られます。そこからオレキシンと呼ばれる物質が分泌されるのです」
オレキシンは胃の運動に関わる神経細胞に働きかけて、胃の入り口部分の筋肉を緩めて、出口の筋肉を活発化する。その結果、胃の内容物が腸に送り出されて、新たな食べ物が入れるスペースを胃に作り出すという。
通常の「お腹いっぱい」という感覚は大脳の下の視床下部にある満腹中枢が刺激されることで湧き上がる。その後「もう食べなくていい」という指示が脳のあちこちに出ることで食べたい意識や行動が抑えられる。ところが前頭連合野の「お腹いっぱい」は味などにあきて「もう食べられない」に過ぎないという。別の味付けをしたものなら食べ続けられるという。