血液検査は正常 それでも心筋梗塞のリスクが高い人は?
「先生、大変でした」
その患者さんは言います。ワケを聞くと突然、心筋梗塞に襲われ、別の病院に救急搬送され、そのまま入院していたとのこと。あぁ、この患者さんも……。私はそう思いました。このようなケースは、決して珍しいことではないのです。
この患者さんは、東京慈恵会医大糖尿病・代謝・内分泌内科を受診する前に、2つの病院にかかっていました。最初の病院では糖尿病の治療を受けており、薬の効果もあってある程度数値が下がっていた。その次の病院では脂質異常症の治療を受けており、やはり薬の効果で数値が基準値以内におさまっていた。その過程を経て、私の外来を受診されるようになったのです。つまり、私の外来に来た時には、これまでの糖尿病、脂質異常症の治療の結果が反映され、血液検査だけを見ると“問題なし”。管理栄養士の食事指導も受けていましたから、より血糖コントロールは良くなっていたのです。
ところが、心筋梗塞……。実はこれに関係しているのが、患者さんの「負の遺産」なのです。
■負の遺産を一生抱えて生きていく