有力候補の開発は続々中止…認知症の新薬はなぜ登場しない

公開日: 更新日:

■新たな攻め口による開発も

 では、AD発症メカニズムを「コリン仮説」から「Aβ仮説」に変えたのに、なぜAD治療薬の開発に成功しないのか?

「Aβが原因と考えられるようになったのは、家族性アルツハイマー病の原因となる遺伝子変異がすべてAβの量を増やすことがわかったためです。しかし、マウス実験ではAβだけでは神経細胞はほとんど死にませんでした。一方、時間をかけてタウをためれば神経が死ぬことはわかっています。そのため、ADはタウが原因で薬のターゲットをタウにシフトすべきとの考えもあります。しかし、タウだけたまるピック病や前頭側頭葉変性症などはADと臨床症状はまるで違う。通常の人の脳と違ってADの脳ではまずAβがたまり、その後タウが同じ場所にたまっていく。ですから私はタウの蓄積だけでADが起きるとは思いません。やはりADの原因がAβとタウであり、そのキッカケはAβの蓄積であると思います。ただし、開発中の薬によるAβ除去は、症状が出た段階では効用は少ないようです」

 実際、米国では脳にたまり始める超早期な段階で薬を投与する臨床実験が用意されているという。では、新たなADの薬は従来通り、Aβをターゲットにしたものになるのか?

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動