有力候補の開発は続々中止…認知症の新薬はなぜ登場しない

公開日: 更新日:

 当時の主流は「コリン仮説」。脳内の神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)をつくる細胞減少に伴うACh量不足がADの原因との考えだ。AD患者の死後の脳研究で脳内のACh合成酵素が減少していたこと、ACh性神経細胞が消失していること、患者の生前の認知機能とこれらの死後所見とが相関していることなどから導き出された。これを基につくられたのがドネぺジルであり、後に続くガランタミン、リバスチグミン、いずれもACh分解酵素を抑制することで脳内のAChを増やす薬だ。

「いま見れば、ACh減少は病気の原因ではなく病変によって神経細胞が消失したことによる結果なのですが、当時はそうは考えられませんでした」

 アミノ酸の一種であるグルタミン酸は、脳内では興奮性物質として記憶や学習に役立っているが、病的な脳では逆に興奮性の細胞毒として働く。メマンチンは、グルタミンが神経細胞表面にくっつくのを抑えてその毒性を緩和するが、やはり根本治療薬にはなりえない。つまり、いま使われている認知症薬は進行を止めることはできないのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動