娘の元気な姿を見せることも介護のひとつの形だと思う
細い体で、車椅子から母を持ち上げ、入浴させる介護は容易なことではない。
こうなると体力が勝負である。幸い安倍さんは、健康管理のために長年、体力トレーニングを日課にしてきた。自宅の床に専用マットを敷き、腹筋(あおむけに寝て、膝を立て、腕を前や横に出す)を100回繰り返して就寝した。地方の宿泊ホテルにマットがないときは、ベッドを利用し、同じストレッチで汗を流す。
食事にも気をつけ、できる限り塩分を抑え、魚、肉、野菜というバランスを考えた食を心がけてきた。
午前2時ごろにベッドに入り、8時ごろに起床する。睡眠時間は平均6時間程度だという。
「毎年、健康診断を受けていますが、比較的良好でしょうか。これまで、帯状疱疹が2回、中耳炎、胃けいれんを各1回患いましたが、おかげさまで、それ以上の大病にかかったことがありません」
母親の介護に疲れ、やり切れぬ鬱憤を晴らすために、酒の力を借りることもあった。母親を寝かせた後、うつろな目をしてテレビを見ながら、ひとりでつい深酒をしてしまう。