手足のしびれや吐き気が続く…診断が難しい難病の薬が発売
「たとえば、スウェーデンでは11%しか発症しません。一方、日本では90%以上発症しますし、高齢になって発症する人もいます」(安東医師)
この病気は認知度の低さもさることながら、多様な症状が見られ、症状の現われ方は患者によって違う。病気特有の症状というものがなく、治療までに時間がかかるばかりか、ほかの病気と混同されて見逃され、適切案治療がなされていないケースも少なくない。一般的には、手足のしびれ感、起立性低血圧や排尿障害、うっ血性心不全や不整脈、心肥大、吐き気や下痢などの消化管症状、タンパク質や浮腫、視力低下など。進行すると、徐々に歩けなくなり、車イスや寝たきりの生活になる。未治療であれば発症からの平均余命は約10年とも言われている。
今回発売された薬は、遺伝子発現抑制という細胞内の自然なプロセスRNAiを応用した日本国内初の治療薬。従来の薬とは作用機序が異なるため、新たな選択肢が増えたことになる。
「希少疾患であるこの病気が、今後“大きな疾患”になるには2つのステップが必要です。それは、研究者がいる、そして治療薬がある。治療薬があるとこの病気が発見される患者が増えてくる。これまでは〝よく分からない疾患〟として亡くなっていた人もいる。今回の治療薬が発売される意味は大きい」(安東医師)
自分とはまったく縁のない病気と考えることなかれ。「知る」ことは、病名が付かずさまざまな不調に苦しんでいる人の、その「理由」が分かることにつながる可能性があるのだ。