見つかった時は…手遅れになるまでわからない4つの理由
膵臓には消化液を運ぶ膵管が張り巡らされています。膵がんの9割以上はこの膵管の細胞にできますが、膵がんが疑われたときに最初に行われる腹部超音波検査はものによっては、胃や腸の中にあるガスや肥満の影響から観察しづらいのです。ですから私が外来でよく言うのですが、腹部超音波検査で「膵臓に異常なし」と結果が来ても安心はできないことをぜひ知っておいていただきたいのです。
2つ目は胃や大腸といった他の消化器と違って筋肉層(固有筋層)がないためにいったんがん細胞が増殖を始めると周囲の臓器に浸潤しやすいことです。膵臓は十二指腸や脾臓、胃などに接しているほか、膵臓周囲には肝臓や消化管などにかかわる腹腔動脈や上腸間膜動脈、上腸間膜静脈、門脈などの重要な血管が集まっているからです。
3つ目は自覚症状が乏しいことです。膵がんは初期症状がほとんどなく、進行すると腰や背中の痛みや腹痛、食欲不振、吐き気、腹部膨満感、黄疸などのほかに糖尿病の人は血糖コントロールが急激に悪化するといわれています。しかし、これらの症状は膵がん特有なものでなく、必ずしも表れるわけでもないことがわかっています。