科学的根拠にもとづいた発症リスクを上げる6つの要因<1>
また、膵がんの患者さんの近親者には胃がん、卵巣がん、大腸がん、肝臓がん、乳がん、肺がんなど膵がん以外のがん患者さんが多いのも特徴です。
2つ目が特定の原因遺伝子により家庭内で膵がんが多発する遺伝性膵がん症候群の人たちです。遺伝性膵炎のほかに遺伝性乳がん卵巣がん症候群、家族性大腸腺腫ポリポーシスなどがこれに当たります。
2世代以上にわたり複数の膵炎患者がいて胆石やアルコールが原因でない若年層が発症した場合を遺伝性膵炎といい、そういう人の膵がんリスクは通常の53~87倍も高く、喫煙歴があると膵がん発生の平均年齢が40代になるなど、リスクはさらに高まることがわかっています。
生活習慣病による膵がんの発症リスクの高さも見逃せません。
2型糖尿病の人の膵がん発症リスクは1.94倍です。興味深いのは糖尿病発症直後がもっとも膵がんの発症リスクが高くなっていることです。糖尿病発症から1年未満で5.38倍、1~4年で1.95倍、5~9年で1.49倍、10年以上で1.47倍となっています。