旦那さんだけ診察室に…妻には内緒で本当の病状を告げられ
Kさんは、瞬間的に「こっそりと呼ばれたのは本人には隠した方がいいからだろう」と判断し、「それは妻には内緒にしておいてください」と返答しました。その時から、Kさんは妻のGさんには言えない秘密を持つことになったのです。
Gさんは「治療は6コース行う」と説明を受けていたのですが、ある時、「入院している同室の方は同じステージなのに、どうして私は治療回数が多いのだろう?」と首をかしげていました。またある時は「抗がん剤治療は脱毛もひどいし、手がシビれる。もう途中でやめたい」と訴えたこともありました。そんな言葉を聞くたびに、夫のKさんは胸がドキンとしました。
この話を聞いた私は、かつて乳がんと闘ったアナウンサーの田原節子さんのことを思い出しました。夫の総一朗さんは、節子さんに乳がんであることは知らせても、予後の悪い「炎症性乳がん」であることを隠していたのでしょう。節子さんの著書「がんだから上手に生きる」には、次のように書かれています。