著者のコラム一覧
宮沢孝幸京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授

京都大学ウイルス・再生医科学研究所附属感染症モデル研究センターウイルス共進化分野准教授。日本獣医学会賞、ヤンソン賞などを受賞。小動物ウイルス病研究会、副会長。

出口戦略には必要だが…ウイルス検査の限界と問題点

公開日: 更新日:

 新興ウイルス感染症が出現した場合、通常、ワクチンや治療薬はない。人の新興ウイルス感染症の場合、感染者を見つけ出して、対症療法するとともに、他の人にうつさない方策をとらなければならない。そこで重要になってくるのは、ウイルス検査である。

 ウイルスの検査は大きく分けて2つある。ウイルスそのものを検出する方法と、ウイルスに感染した人の抗体を調べる方法がある。

 ウイルスそのものを検出する方法はさまざまあるが、新型コロナウイルスの場合、ウイルスの遺伝物質である核酸RNAを検出する。

 検査はRT―PCR法で核酸を100万倍以上に増幅して検出する。今回のRT―PCR検査の場合、10個ほどのウイルス粒子が検体に存在すれば、検出することができる。

 しかし、ウイルスが感染していてもサンプル採取場所(咽頭など)で増殖しているとは限らない。今のところ、検出感度は30~70%と考えられている。

 一方、抗体検査は、感染初期に誘導されるウイルス特異的IgMと、それに引き続いて誘導されるウイルス特異的IgGを検出する。しかし、感染初期に一時的に上昇するIgMでも、検出されるまでに感染後7日以上かかることが多い。IgGは回復者も陽性になるので、現在感染しているのか、過去に感染したのか区別はつかない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸300億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」