保存食で作れて食物繊維が豊富な切り干し大根のみそナムル
7月の豪雨により、九州南部を中心に各地で甚大な被害が生じました。私たちは改めて自然災害の怖さを知ることになりました。世界でも多雨地帯であるモンスーンアジアの東端に位置する日本は、年平均1718ミリの降水量があり、これは世界平均(880ミリ)の約2倍に相当します。しかも、日本の降水量の特徴は季節ごとの変動が激しく、とくに梅雨期と台風期に集中しています。水資源が豊かである一方、今回のような災害が起こりやすいのも事実です。
ところで、水害のほかにも、地震や台風などさまざまな自然災害と隣り合わせで生きてきた日本人は、非常事態に備えて食べ物を保存する知恵を獲得していきました。塩蔵、糖蔵、乾燥、薫製、発酵などの保存食はそのまま日本の伝統食として受け継がれています。
もちろん、みそもその代表のひとつ。私自身「もしかすると今年はさらに想定外のことが起こるのでは」と感じ、みそを例年より多めの12キログラム仕込みました。何事も備えが肝心です。加工技術が進み、カップ麺やレトルト食品、フリーズドライなど、調理せずに簡単に食べることができるタイプが人気です。しかし、長期にわたる避難生活では、やはり人の手で作った温かいみそ汁やおにぎりが安らぎを与えてくれます。
ですから、私の非常食は昔ながらの保存食ばかりで、みそ、米、鰹節、アタリメ、サバ缶、大豆の水煮詰、塩昆布、梅干し、切り干し大根、漬物、おせんべい、餅などです。
ふだん食べ慣れないレトルト食品などは、いつの間にか消費期限が切れてしまい無駄にしてしまいますが、昔ながらの保存食なら、災害がなければ普段のレシピに加えたりおやつにしたり、無駄がありません。みそなどの大豆加工品があれば、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足しがちな非常食でも、バランスよく栄養素を摂取することができます。
また、みそ汁の優れた点は、飲むとホッとするという心に作用する働きも兼ね備えていることです。これは日本人の遺伝子レベルで記憶されている感覚なのではないでしょうか。海外生活が長い多くの友人たちも、やはりみそ汁を飲むと「日本人でよかった」と感じるようです。
ぜひ、緊急時用の保存食として日本の伝統食を備蓄しておくことをおすすめします。
今日の腸活みそレシピは保存食で作る「切り干し大根のみそナムル」です。
切り干し大根はうま味や栄養が凝縮されるだけでなく、カルシウムや鉄などの栄養素も生の大根に比べて大幅に含有量が増えます。少ない量で食物繊維をたくさん摂取することができ、便秘の緩和にも役立ちます。
《材料》(2人分)
切り干し大根 40グラム
にんじん 1本
みそ 大さじ1
酢 大さじ2
ごま油 小さじ1
白煎りごま 小さじ1
ニンニクすりおろし 小さじ1
赤唐辛子 1本
《作り方》
(1)ボウルの中で切り干し大根をよく洗い、手で軽くもんで水分を全体に含ませた後、ザルに入れて水気をよく切り、5分ほどそのまま置いておく。完全に戻し切らないことがポイント。
(2)千切りにしたにんじんを①に加えてよく混ぜる。
(3)ボウルに調味料をすべて入れてよく混ぜる。
(4)②を③に入れてよく混ぜ合わせて出来上がり。