勉強を欠かさなかった先輩医師は"霊水"を信じたのだろうか
ある日、たまたま廊下で、お互いの襟をつかみ合うほどのケンカを目撃しました。N先生と呼吸器内科部長でした。怒鳴り合う声を聞いていると、研究室に置いてある超遠心機が壊れたことが原因のようでした。N先生の許可なしに呼吸器内科部長が使ったから壊れたというのです。
「おまえのせいで、がんの制圧が遅れる!」
その大きな声、その意気込み、その言葉に驚きました。
N先生に嫌われると大変だ……みんな怖がっていましたが、ある時、某大学医学部の教授に栄転されていきました。われわれはホッとしました。それが十数年たって、また同じ病院で働くことになるとは夢にも思いませんでした。
N先生が現役の頃、時々、私は部屋に呼ばれ、用件が済むと学問の話ばかりではなく世間話もたくさんされました。「○○さんは材木屋の息子でね」とか、「あの人のおじいさんは男爵で……」などと、楽しそうに話されていたことを思い出します。
■パンフレットを見てなんとも答えようがなかった