著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

肺がんで亡くなった祖母の手にはめられた白い手袋には紐がつながれていた

公開日: 更新日:

 Fさん(45歳・女性)はすでにご両親を亡くされていて、夫とは5年前に離婚。いまは小学2年生の息子と2人暮らしで、自宅近くのスーパーに勤めています。

 そんなFさんが住んでいるアパートから徒歩10分ほどのところに、Fさんの祖母Kさん(94歳)が元気にひとり暮らしをしていました。

 Fさんは週1回のペースで訪問して、野菜を持っていったり食べ物を冷蔵庫に補充するなど、あれこれ世話をしていました。しかし、ここ1カ月くらいKさんは食事の時にむせる症状が出て、食事の量が減ってきていました。

 ある夜、Kさんから急に「息苦しい」と電話があり、救急車で近くの病院に運ばれてそのまま入院。この時、左の肺に水がたまっていることが分かりました。

 翌日、500ミリリットルほど抜いた胸水の中にたくさんのがん細胞が見つかりました。そして、1週間後、Fさんは担当医からこう告げられました。

「おそらく肺がんが進行して、胸水がたまったと考えられます。胸水がたまるということは、肺がんでもステージ4です。ご本人の負担になりますから、これ以上検査はしません。治療も意味がないと思います。食事も誤嚥するため取れない状況で、点滴をしています。ただ、ここは救急病院ですからずっと入院していることは無理です。どうしましょうか? 自宅に帰れば点滴なしでは1週間くらいの命だと思います」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…