がんに対する温熱療法「ハイパーサーミア」のここが凄い
■いまが「がん標準治療」入りの分水嶺
大会ではさまざまな演題が用意されている。とくに手術、抗がん剤、放射線などとの併用療法による上乗せ効果が優れており、腹膜播種、膵臓がんなどの難治性がんの治療効果に関する演題が多い。
「たとえば播種のある胃がんでは、手術後に抗がん剤を投与するとともに温熱療法を加えた10例と胃がんの手術のみの10例を比較したところ、前者の3年生存率36%に対して対照群は0%でした」
放っておけば人工肛門が避けられない、進行直腸がんに対する温熱療法併用の放射線化学療法は完全奏効が27%だったという。
「ほかにも腹膜播種やトリプルネガティブの乳がん、免疫チェック阻害薬との併用による上乗せ効果などについても語られます。また、ハイパーサーミアの治療ガイドラインを2年前から作成しており、今回の学会はそれをまとめる学会でもあります。今大会のテーマが『標準療法を目指したハイパーサーミアの治療戦略』となっているのはそのためで、今大会は節目の大会なのです」