大丈夫か…「うがい」「不要不急の外出を控える」の実践度は1割低下
緊急事態解除後は気の緩みが顕著
緊急事態宣言が解除されてから3カ月以上が経過。感染症対策にそろそろ気の緩みが出てきたようだ。「うがい」や「不要不急の外出を控える」の実践度が、緊急事態宣言の渦中よりも大幅に低下していることが大規模調査で浮き彫りになったのだ。その一方で、60代は感染予防に一層気を引き締めている。感染予防策として免疫力を高めるためにヨーグルトや納豆などの食品の購入率が上昇しているのだ。
この調査は、調査会社の日本能率協会総合研究所が全国の20〜69歳の男女3000人を対象に、緊急事態宣言解除から2カ月経過したタイミングで感染症予防対策や消費行動を調査したもの。同研究所は4月の緊急事態宣言中にも同様の調査を実施しており、それと比較することで、緊急事態宣言解除後の感染予防対策の意識の変化や実態が浮き彫りになった。
■60代は気を引き締めており、感染予防策として免疫力を高める食品の購入率は上昇
今回の調査では、新型コロナウイルスの感染予防として実施している対策については、現在実施している対策として「マスクをする」が89.1%で最も高く、次いで「手洗いをする」が87.7%、「うがいをする」は58.1%、「不要不急の外出を控える」が56.2%、「周りの人と距離をとるようにしている」が42.5%と続く。4月の緊急事態宣言で自粛中の調査結果と比べると、「マスクをする」は約9割と高水準を保っているものの、「手洗いをする」は約4ポイント、「うがいをする」「不要不急の外出を控える」は約10ポイントも下がっているのだ。
意識や行動の低下の理由は、特に若年層の実施率の低下が大きく響いているようだ。20代の男女、30代の女性は、基本の5つの対策(マスク、手洗い、うがい、不要不急の外出を控える、周りの人との距離)の実施率がすべて大きく下がっているのである。ただし、60代では逆に男女とも多くの対策において実施率が上昇している。この差は、新型コロナウイルスが若い人の場合、比較的軽症で済み、生活習慣病を抱える60代以上は重症化しやすいということからくる、危機意識の違いだろうか。
ヨーグルトや納豆で免疫力をアップ!
感染予防のために意識的に購入した具体的な商品の全体的なベスト5は、「マスク」(52%)、「除菌スプレー・除菌シート」(32.6%)、「石鹸・ハンドソープ」(30.5%)、「アルコール消毒薬」(24.7%)、「ヨーグルト」(18.3%)の順。前回の調査と比較して男女とも全体的に大差ないものの、目立った変化は、50代女性は「牛乳」、60代女性は「ヨーグルト」「納豆」「牛乳」「バナナ」「緑黄色野菜」の購入率が5ポイント以上もアップしていることだ。
■対策をしっかり実施している人が健康状態は良好
ちなみに、新型コロナウイルスの感染予防のために意識的に取っている食品は、ヨーグルトが圧倒的に多く、次いで納豆、牛乳などが選ばれている。
免疫力は20代をピークに、年を重ねるとともにどんどん下がっていくが、ヨーグルトをはじめこれらの食品は、免疫力アップにつながることが知られている。ウイルス感染のリスクを完全にシャットアウトできないのなら、免疫を上げて感染予防に取り組む対策は、重症化を防ぐためにも合理的な考え方なのではないだろうか。
もう1つ、感染予防対策をしっかり実施している、あるいは今後も対策をしていく意向がある人のほうが、健康状態が良好なことも調査で明らかになった。「風邪などの症状がない」だけでなく、「お通じが良い」「寝つきが良い」「胃や腸の不調がない」など、対策をきちんと実施している年代の高い方のほうが、健康状態が良好な傾向が見られるのである。これも、免疫力アップを心がけているおかげなのだろうか。