若い頃のように熟睡できない…悩む高齢者は自身の「眠りの状態」をしっかり把握する
若い頃みたいにぐっすり眠れなくなった──。こんな不満を抱え、睡眠に悩む高齢者が増えている。睡眠は加齢とともに変化していく。高齢者が熟睡するためのポイントを東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏に詳しく聞いた。
一般的に、高齢になると睡眠時間が短くなるといわれる。加齢により基礎代謝量が低下し、日中のエネルギー消費量も低下するため、使われるエネルギーが少なくなり、体が必要とする睡眠量が少なくなるからだ。
また、睡眠をコントロールしている自律神経の働きも加齢によって衰えてくる。とりわけ、睡眠時に活発になる副交感神経の働きは、男性は30代、女性は40代から、10年で約15%ずつ低下していく。高齢になるに従って睡眠のバランスが大きく崩れてしまうのだ。
「こういった加齢の影響によって、われわれは年をとると自然と“早寝早起き”になってきます。とくに、脳や体の疲労回復のために重要だとされるノンレム睡眠のうち、深い睡眠の際に出現する『徐波睡眠』が15%前後まで減ってしまいます。老化による自然な変化なので、これで睡眠は十分という見方もあります。しかし、結果的に睡眠時間が短くなっているだけで、必ずしもそれが健康の証しというわけではありません。何より本人が『長い時間ぐっすり眠った』という満足感を得られないので、睡眠の悩みが生じるのです」