有効性9割超「mRNAワクチン」はどこまで期待していいのか

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■ウイルスの「スパイクタンパク質」だけを作る

 今回のワクチンが画期的とされるのは「メッセンジャーRNA」(mRNA)を使ったところにあるという。ヒトの体内に侵入したウイルスが増殖するには、細胞にくっついて内部まで入り込む必要がある。そのために、ウイルスは自身の表面にある突起状の「スパイクタンパク質」を鍵として使い、鍵穴にあたるヒトの細胞膜上の「ACE2受容体」に結合させる。

「今回のワクチンは、新型コロナウイルスがスパイクタンパク質を作るための遺伝情報が書き込まれたmRNAを封入した粒子を使っています。体内に新型コロナウイルスのスパイクタンパク質だけを作りだし、ウイルスに対する抗体を産生させる仕組みです。これまでのさまざまな感染症に対するワクチンは、活性を弱めたり毒素を失わせたウイルス=病原体が使われていました。そのため、ワクチン接種によって感染してしまうリスクがゼロではありませんでした。しかし、今回のmRNAワクチンはウイルスそのものを使わないのでそうしたリスクはありません。また、mRNAは役割を終えると分解されて体内に残らないため、副作用の不安も小さいといえます」

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