大腸がんの同僚を診た医師が自分の腹部にも痛みが出始め…
G看護師を最初に診察した時から、A医師は寝る前に自分で左下腹部を触れ、塊がないかどうかを確認することが多くなりました。そして次第に左下腹部に痛みを感じるようになり、腫瘤が触れるようにも思えてきました。しかし、そのことは誰にも言いませんでした。
さらに、感じる痛みの回数が1日に3回、4回と増えてきました。そしてA医師は「検査はしていないが、自分はきっと大腸がんだろう。1週間後の娘の結婚式が終わったら消化器内科医長に相談しよう」という考えに行き着いたのです。
体重は4キロも減り、見た目もげっそりしてきました。結婚式当日も、祝宴の食事にはほとんど手をつけず、田舎から出てきた姉には「娘さんいなくなるのが寂しいんじゃないの?」と冷やかされました。
それでも、どうにか無事に娘の結婚式を見届けることができました。A医師がさっそく消化器内科医長に相談したところ、翌週に大腸内視鏡検査を予定してくれました。
内視鏡の検査中、医長から「A先生、S字状結腸のところの粘膜が少し赤くなっています。でも、がんはありませんよ。写真を撮っておきますね」と言われました。がんは一切なかったのです。