透析が一生続くとわかって…宿野部武志さん腎不全との闘い
腎細胞がんは時間が経ってからも再発・転移するといわれているので、2008年の手術から今でも年に1回は造影剤を使った検査を受けています。でも、おかげさまで病気はあっても健康です。1回5時間の透析を週3回受けている透析患者ですけれど、やりたいことが常にあり、精神的にとても充実しています。
僕は今、製薬会社や医療機器メーカーと、病気を持つさまざまな人の声をつなげる仕組みづくりをしています。医師や周辺情報ではなく、エンドユーザーの生の声を製品づくりに生かしてもらいたいのです。患者側も経験してきた病気の話をちゃんと聞いてもらえ、それが次のモノづくりのヒントになると知って、病気が人生にとってマイナスだけじゃなかったと思える。
病気を持つ人だからこそできる取り組みをこれからもっと充実させていきたいと考えています。
(聞き手=松永詠美子)
▽宿野部武志(しゅくのべ・たけし) 1968年、埼玉県生まれ。大学卒業後、ソニーに入社し、37歳で退職。39歳で腎臓がんにより左腎を摘出した。42歳で慢性腎臓病や腎臓病患者の支援サービスを行う会社「ペイシェントフッド」を起業。2013年にポータルサイト「じんラボ」をオープン。2019年には一般社団法人ピーペックを設立し、代表理事として「病気があっても大丈夫と言える社会」を目指して活動している。