“胃バテ”に要注意! 酷暑の8月に胃の不調で悩む人が圧倒的に多い
酷暑に負けない胃をつくる秘訣とは!?
胃の不調を感じる人が真夏の8月に最も多いという調査結果がある。夏バテが胃バテ(胃の不調)を伴うからだ。なぜ、夏バテすると胃も悪くなるのか。酷暑に負けない胃をつくるにはどうすればいいのか。消化器医療のスペシャリストであるムラタクリニック(東京・西新橋)の村田洋子院長に聞いた。
■その原因は、自律神経の乱れだった!
「夏バテは、夏の暑さに体が適応できなくて起こる体の不調のこと。特に、体温を一定に調節している自律神経がオーバーワークになり、バランスを崩してしまうことが主な原因です」と村田院長。
コロナ禍が続くこの夏は、ステイホームが多く、外に出て歩くことも少なくなっている。しかも、梅雨明けから急激に暑くなったため、体が暑さに慣れる準備ができなくて夏バテになりやすいのだと言う。
「通常なら、毎日通勤で歩くので汗をかくのですが、外出自粛でリモートワークが多い今年の夏は、エアコンが効いた家にずっといるため、汗をかくことがあまりありません。実は、この汗をかかないことが夏バテを引き起こす大きな理由のひとつなのです」
どういうことなのか。
「汗をかかないということは、体の中にこもった熱を外に出せないということ。これが熱中症のような状態を招き、自律神経が乱れて体温調節のバランスが乱れ、体の随所に不調を引き起こします。例えば、胃の場合は『迷走神経』と呼ばれる自律神経の中の脳神経が、胃の動きや消化酵素を分泌させる働きをしています。だから、自律神経が乱れたり衰えたりすると消化機能が低下し、胃もたれや食欲不振になるのです」
つまり、夏の胃バテの真犯人は、自律神経の乱れだったわけだ。
では、夏の暑さに順応し、胃バテを防ぐにはどうすればいのか。
「真夏の暑さに慣れるためには、何よりもまず汗をかくようにすることです。比較的涼しい時間帯に散歩をしたり、軽い運動や体操、サウナなどで汗をかいて、汗腺が働くようにするのです。もちろん汗をかいた後は、水分補給をして、十分に体を休ませてください。楽しく運動して汗をかくことで、胃もよく動くようになります」
■体の冷えにも十分注意が必要
家の中、あるいはオフィスでは、ほぼ1日中冷房が効いた状態にしていることが多いが、この冷房による「体の冷え」には十分注意が必要だと村田院長は話す。
「体が冷えると血流が悪くなり、胃の動きはさらに悪くなってしまいます。1日中、家にいてあまり動かないこと。体を冷やすこと。この2つが胃の働きを悪くして、胃がもたれたり、食欲不振になったりしがちなのです」
食べてすぐに寝てしまうのも胃に大きなストレスを与えてしまうそうだ。「本来なら夕ご飯を食べてから寝るまで3~4時間あけるのが理想的ですが、実生活ではなかなかできないので、私は少なくても2時間ぐらいは開けることをお勧めしています。どうしても寝る前にしか食べられないという人は、消化の良いものを少量食べるように心がけてください」
胃バテの根本的な理由である自律神経の乱れを修正するのにも、消化の良い物を食べるようにすることが大事なポイントだと言う。どんなものがいいのか。
■消化の良い食べ物を そのポイント
「胃が疲れている時は、消化しにくい食物繊維の多い食べ物、例えば、玄米などは避けた方がいいですね。白米や白いパンのように消化がいいものを食べるようにしてください。胃もたれなどを感じなくなったら、玄米や黒っぽいパンに切り替えるといいと思います。副食も消化の良い形にしたものを摂るようにするといいでしょう。野菜なら煮たり蒸したり、小さく切ったりして食べることをお勧めします。お肉もコトコト煮込んで軟らかくしてから食べること。消化の悪い根菜なども小さく切ったり、すり下ろしたりして、消化の良い形にして食べるといいですね」
豆腐やヨーグルトなども消化のよい食べ物の代表選手だと言う。
「とりわけ、ヨーグルトの中でもLG21乳酸菌という、胃酸に強く、胃に留まって働く乳酸菌が入ったものもあります。こうしたヨーグルトを食べていただいて、胃を健康にしておいた方が、胃の不調にもなりにくいと考えられます。実際、『胃がいつももたれていて不快』だという方には、ヨーグルトを食べることをお勧めしています」
胃バテは「暑いからしょうがない」とあきらめず、汗をかくように心がけ、消化の良いもの、胃に良いものを食べる“習慣”をつけることで対処できることを知っておきたいものだ。
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▽村田洋子 東京女子医科大学を卒業後、同大学の消化器外科に入局。消化器内視鏡を中心に診療を続けるほか、国内外の学会でも活躍。現在は「虎ノ門ヒルズ駅」のすぐそばに「ムラタクリニック」を開業。