夜は、腸のゴールデンタイム 4人に1人が実践する「夜ヨーグルト」とは
免疫力アップで我が身を守る…
コロナ禍が終焉しないうちにインフルエンザの季節がやってくる。感染の予防には、マスクやうがい、手洗いの習慣を続けるのはもちろんのこと、体の免疫力をアップさせることが大切だ。とはいえ、実際、どうすれば免疫力は上がるのだろうか。
■体を温める、適度な運動、食生活がポイント
「免疫力を上げてウイルス対策」という話はよく耳にする。だが、そもそも「免疫力を上げる」というのは、いったいどういうことなのだろうか。免疫力を上げる方法について、免疫分野のスペシャリストである日本免疫予防普及協会の飯沼一茂先生に聞いた。
「免疫力のアップとは、免疫細胞の数を増やして活性化させると同時に、免疫バランスを良くすることです」
免疫には、攻撃する免疫とブレーキをかける免疫がある。免疫バランスとは、この攻撃のアクセルとブレーキのバランスのことだ。
「免疫の大きな仕事は、私たちの体の細胞を破壊し再生すること。この破壊と再生をコントロールしているのも免疫なのです。たとえば、ウイルスに感染した細胞を免疫が炎症を起こさせて破壊し、その後、炎症を止めてキレイな細胞に再生するわけです。ところが、免疫バランスが崩れると、免疫の異常な反応が強く出て暴走し、炎症が止まらなくなってしまいます。だからバランスが大切なのです」
では、どうすれば免疫細胞を活性化させつつ、免疫バランスを保つことができるのか。その大きなカギを握っているのは3つ。「体を温める」「適度な運動」「免疫力を上げる食生活」である。
「体温が1度上がるだけで、免疫を数倍アップさせることが可能です。反対に体温が1度下がると、免疫力は3〜4割低下してしまいます。
体温が上がると血液の流れが良くなり、免疫力が上がる
体温を上げると免疫力が上がるのはなぜなのか。
「体温が上がると血液の流れが良くなる上に、リンパの流れもスムーズになります。リンパ球は免疫機能を司る免疫細胞の要とも言える存在。この流れが良くなれば免疫細胞が働きやすくなり、免疫バランスも整うのです」
体温を上げるためにもっとも簡単で効果的なのはお風呂に入ること。40度のお湯に10分間つかると体温が約1度上がるそうだ。
「最近はシャワーで済ませる人も多いようですがシャワーでは体が十分に温まりません。忙しくてもバスタイムはゆっくりとってほしいですね」
適度な運動も血流をよくし、免疫力のアップにつながるという。
「たとえばウオーキングなら1日の目安は7000歩から8000歩。無理をせずゆっくりと、自分のペースで毎日楽しく続けることが大切です」
逆に、急激に体力を消耗するような激しい運動は免疫力をぐっと下げてしまい、細菌やウイルスに対する抵抗力も低下してしまう。目的にあった運動を選ぶことが大切なのだ。
腸内環境を整えるには、夜の10時から午前2時がカギ
免疫力をアップするには、食事も重要なポイントだ。なぜなら、腸に免疫細胞の約60%が集中しているからである。
「食生活で免疫力を高めるには、免疫細胞を増やし活性化する食材、抗酸化作用のある食べ物、体を温める食べ物、腸内環境を整える食べ物が大切です」
ヨーグルトやバナナ、緑茶などのほか、キノコ類や海藻類、納豆、漬け物など、食物繊維の多い食品や発酵食品なども腸内環境を整えて免疫力を高める上で、積極的に摂取したい食品に挙げられる。
「キノコ類には免疫活性を高めるβグルカンが多く含まれています。また、ヨーグルトや発酵食品に含まれる乳酸菌は腸内環境を整えてくれますし、オリゴ糖や食物繊維は定着している腸内細菌のエサになります」
加えて、腸のリズムに合わせたタイミングで食べることも大切だと飯沼先生は言う。
「人間の体には、朝は『排泄』、昼は食べたものを『消化』して『栄養補給』、夜間は『吸収』するという一定のリズムがあります。腸の働きがもっとも活発になる夜の10時から午前2時までは、通称『腸のゴールデンタイム』と呼ばれていて、この時間帯に合わせて腸内環境を整えることが大切なのです」
それを後押しするためには「夕食後のヨーグルト」が効果的だという。眠っている間に乳酸菌などが腸内細菌を刺激して、腸内環境を整えてくれるからである。
そのヨーグルト。先日行われた免疫に関する意識調査(キューライフ調べ)によると、免疫力を高めるために食べている食品の1位はヨーグルト。しかも、4人に1人が夜に食べていることが明らかになっている。
「ウイルスに感染した細胞やがん細胞と戦うリンパ球は夜に活発に働きます。したがって、刺激を与えるのであれば夜の方が良いと考えられるのです」
体を温め、腸内環境を整えるために朝だけでなく夜にもヨーグルトを食べて、免疫力をアップしてウイルスから我が身を守ろうではないか。