血圧は低いほうが脳卒中・心筋梗塞のリスクを抑えられる アジア人対象の大規模比較試験で報告
米国のガイドラインでは17年、SPRINT研究などの結果から、高血圧の診断基準をこれまでの140/90㎜Hgよりも低い130/80㎜Hgとし、血圧がこの数値に達した時点で治療を開始すべきと定義している。
一方、日本では、高血圧治療ガイドライン2019が出た時点ではアジア人のデータであるSTEP試験が発表されておらず、高齢者のデータが不十分ということから、一般的な治療としては、75歳未満は診察室血圧130/80㎜Hg未満を、75歳以上は140/90㎜Hg未満を目指すこととなっている。ただし、STEP研究の対象者は60~80歳(平均年齢66歳)で、前述の通り、高齢者でも積極的な降圧治療が効果的との結果だ。
「個人的な見解ですが、年齢にかかわらず、積極的な降圧は有効。自力で外来通院できるような人なら、75歳以上でも降圧の利益と不利益のバランスを考えながら、可能ならしっかり血圧を下げた方がいいと考えています」
冒頭で述べた通り、高血圧と認識していない人、認識しているが未治療の人が非常に多い。血圧は、家庭など診察以外でも測れる。いま一度自分の血圧が正常かどうかを、確認すべき。家庭用血圧計では、135/85㎜Hg以上だと高血圧である。「起床して1時間以内、トイレの後、朝食の前、薬を飲む前」「寝る前、食後1時間以降、入浴や飲酒直後は避ける」といった2つのタイミングが望ましい。