瀬戸内寂聴さんが生前に断言していた がん患者のリハビリの大切さ
がん細胞は、全身の脂肪や筋肉を分解し、糖を取り込んで増殖。これによって引き起こされる栄養障害ががん悪液質で、がん患者が痩せるゆえんです。術後の寝たきりで筋力が低下した上、がん悪液質のダブルパンチでは、少し動いただけで多くのエネルギーが消費されて疲れやすく、疲れやすいから動かない。動かないから、余計に体力が低下するという悪循環に陥るのです。
この負の連鎖を断ち切るには、運動によるリハビリと十分な栄養管理が必要不可欠。その点でも寂聴さんはすばらしかったと思います。
文春の記事によると、退院後すぐにリハビリを開始。療法士の指導で毎日1時間、足の指を動かすなど簡単なことから始め、足に風船を挟むなど少しずつ筋力をつけたそうです。術後4カ月後の検査は、自分でタクシーに乗って行けたほど回復したといいます。
「リハビリは決して裏切らない」
寂聴さんは、そう断言します。高齢社会の今、高齢でがんの治療を始めることが珍しくありません。寂聴さんの前向きさは、頭に入れておくべきでしょう。