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坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

血糖コントロールはしっかりでき低血糖は起こしにくい薬

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 マウスの実験で、DPP-4を阻害することで耐糖能(血糖値が高くなった時に正常値まで下げる能力)を改善することが証明され、2000年以降、DPP-4阻害薬の開発が加速していきました。

 DPP-4阻害薬の特徴の一つが、「食後の血糖値が上昇しそうになった時“だけ”、インスリンの分泌を促進させる」点にあります。そのため、比較的低血糖を起こしにくい。特に単剤では起こすケースはまれです。

 薬でインスリンを分泌させ血糖コントロールを行うということは、低血糖のリスクと背中合わせです。血糖コントロールをどこまで厳格にやるべきか……? その答えを見つけるべく、DPP-4阻害薬が登場するまでは、「血糖コントロールを厳格にした場合、合併症の発症を抑えられるのかどうか」という観点の大規模臨床試験が複数行われていました。

 1998年発表の大規模臨床研究UKPDS33では、2型糖尿病患者に厳格な血糖コントロールを行うと、従来型の食事療法中心の治療を受けた群と比べて、細い血管が障害されて血流が悪くなる微小血管障害(網膜症、腎症、神経障害といった糖尿病3大合併症といわれる疾患)のリスクは下がるが、低血糖や体重増加リスクを伴うという研究結果でした。

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