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坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

血糖コントロールはしっかりでき低血糖は起こしにくい薬

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 同じく98年発表の大規模臨床研究UKPDS34は、肥満の2型糖尿病患者が対象。厳格な血糖コントロールを行った群は、従来の食事療法と比べて、合併症リスクが抑制されるとの結果が出ました。ただ、UKPDS33、34ともに追跡期間は約10年でしたが、厳格な血糖コントロールをした群は、介入直後にHbA1cが改善するものの、長期的に見ると血糖コントロールの維持は得られないとの結果でした。

 2008年にも心血管疾患のリスクが高い糖尿病患者を対象に厳格な血糖コントロールを行う研究ACCORDの結果が発表され、HbA1cを正常範囲の6%未満を目指したところ、体重増加に加え、重症低血糖が高い頻度で起こるという内容でした。

 つまり、大規模臨床試験では、合併症回避のために厳格な血糖コントロールを行うべきという明確な答えを得られなかった。血糖コントロールをきちんとでき、低血糖を起こしにくい薬が長く望まれてきたわけですから、それらをかなえるDPP-4阻害薬が画期的な薬として医師や患者に受け止められたことは、容易に理解できるのではないでしょうか。また他剤と比べても副作用が少ないのも特徴でしょう。

 現在、DPP-4阻害薬は9種類の商品が出ており、合剤なども含めるとかなりの数になります。糖尿病は合併症として腎障害がありますが、DPP-4阻害薬は、商品によって腎障害患者が使いやすいものとそうでないものもあり、患者さんの状態を見て使い分けています。

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