外科手術が必要になる「出っ歯」の状態と治療法は?
骨格性上顎前突の手術には、主に「上顎前歯部歯槽骨切り術」があります。基本的に前歯は上下各8本ずつありますが、ここでは上の前小臼歯を左右2本抜いて、前歯の6本を骨ごと切り離し、抜歯をして出来た隙間を利用して後方に引っ込めます。ただし、上顎の手術なので、しばらくは口を動かしにくく、術後は骨を固定するために口を動かすことができないため、食事や会話に不便を強いられるケースがあります。
また下顎全体が後退しているために出っ歯に見える方もいます。この場合、「下顎枝矢状分割術」によって、下顎全体を前方に移動させます。左右のエラから頬の内側の歯茎を切開して、エラ部分の左右の骨を分割し、噛み合わせを考慮したバランスの良い位置に移動させます。
下顎枝矢状分割術は上顎や下顎の外科処置は骨を移動させる大掛かりな手術ですから、体への負担は大きいです。手術後、数週間程度は患部に痛みや腫れがあり、マヒなどの症状が出る可能性もあります。
歯列矯正の治療だけであれば保険は適用されませんが、顎や骨を切るような手術が伴う場合、大学病院や一部の医療機関では、歯列矯正の費用を含めて、入院費用まで保険診療の対象になります。