眼科編(10)加齢で増える目の痛み 体以外の原因も少なくない
②は神経の圧迫など感覚神経自体の傷害で起こる痛み。ジンジンとした鈍い痛みと感じられ、慢性的疼痛や難治性疼痛に進行しやすい。代表的なものに、帯状疱疹治癒後の神経痛、ドライアイ症候群の眼痛などがある。非ステロイド系鎮痛剤は効きづらい。
③は精神的ストレスなど心理社会的要因によって起きるとされる痛み。身体的な支障が見つからないため、受診しても原因がわからず治しづらい。かつては「身体表現性障害」という言葉が使われていたが、いまは「身体症状症」という言葉が用いられているという。
「この身体症状症は、(A)苦痛や生活への支障がある身体症状があること(B)身体症状や健康に関する極端な思考・感情・行動のうち、2つを満たす病態を含みます。高齢女性に多い眼瞼けいれんでは過剰な瞬目、精神的なうつ、それに感覚過敏を示しますが、この時に見られる眼痛もこれに含まれるものがあります。この治療には神経心理学的なカウンセリングも有効な場合があるでしょう」
問題はこれら3つの痛みに対して使うべき薬剤や治療がまったく違うのに、3種は互いに重複していて各症例は明確に3分できないことだ。しかも医師によっては、こうした分類自体に無頓着なケースもある。
痛みには3つの分類があることを知ったうえで自身の症状がどうであるかを考えて受診することが大切だ。