新しい麻酔薬の登場とそれを使い慣れた麻酔科医の存在が重要
これまでの鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術でも、基本的には全身麻酔が必須でした。しかし20年ほど前に新しい鎮痛剤(レミフェンタニル)と筋弛緩薬(ロクロニウムおよびその拮抗薬スガマデクス)が登場し、麻酔覚醒後のコンディションを大きく変えることになりました。
手術が終了したら、麻酔は遅滞なく覚めなければなりません。この新しい麻酔薬の登場が今日の日帰り手術を、より安全かつ快適に行うことを可能にしていると言えるのです。
従来の薬剤はこれら新薬と比べ切れが悪いため、終わってから回復室で休んでいる間にも、呼吸が弱くなってしまったり、なかなか意識が回復しなかったりということがありました。
それがこの新薬の登場により、そういった術直後のトラブルが皆無となり、実際患者さんからも、「痛みを軽減したいので腹腔鏡(内視鏡)でお願い致しました。これにより術後1時間半くらいの休みで、安心に日帰りで帰宅できました」(60歳代・男性)、「一発で治って余裕の日帰り手術。夢のようです(80歳代・女性)といった声をいただくようになっています。