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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

ステージ4の前立腺がんでも抗がん剤が劇的に効くことも

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 翌週、紹介された泌尿器科を受診しました。泌尿器科の担当医は、さっそく前立腺の生検を行ってくれました。その組織検査の結果は7日後に分かり、一部悪性度が強いところもある前立腺がんであることが確定しました。

■PSA値が急激に下がった

 そして、その翌週から3週間に1回のドセタキセルという抗がん剤の点滴治療と、ホルモン療法が開始されました。幸い、治療開始から1カ月後のPSA値は急激に下がり、2カ月後のCT検査では肺転移の影も明らかに小さくなっていました。ドセタキセルの点滴は合計6回行われ、現在はホルモン療法を続けています。PSA値は正常値となり、肺の転移はほとんど消えています。

 あれから1年過ぎた今では、背中の痛みもなく、ウソのように元気な毎日です。

 ◇  ◇  ◇

 前立腺がんは、限局期(がんが転移していない状態)の場合は「監視療法」といって、治療せずに経過をみることもあります。病期によって、手術による前立腺全摘除術、放射線治療、ホルモン療法、抗がん剤治療などが行われます。

 進行している前立腺がんでも、この男性のように劇的に効くことも実はまれではありません。多くの場合で薬物治療は有効ですが、どのくらいの期間、何年効いてくれるのか、予後は個人個人でさまざまです。

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