認知症の患者は身近な人から忘れてしまうのは本当なのか

公開日: 更新日:

 全体の4.3%と割合こそ少ないですが、脳にレビー小体というタンパク質が蓄積し、塊ができることで神経障害が引き起こされます。主に運動、思考や記憶に関する領域に影響を与えることが分かっていて、運動でいえば睡眠困難や体の平衡をとれないなどの症状がみられます。さらに、記憶混乱や記憶喪失などの認知の問題が起こるので、凶暴になったり、怒りっぽくなって認知症と判明するケースが多いです。

 レビー小体は、人の名前や人を認識する能力をつかさどる脳の領域にたまって障害を与えます。そのため、「あなた誰?」と言われて、「息子だよ」と怒って返答してしまっても患者さんを怒らせてしまいます。介護する側にとっては、忘れられてしまってつらい思いをする方も多い認知症です。

 いずれにしても、認知症によって人を識別する能力が衰えると、新しい記憶であるほど忘れてしまいます。昔の記憶は最後まで残るので、若い頃の夫や妻のイメージは思い浮かべることができます。

 そのため、息子や娘を配偶者と間違えるケースが多いのです。成長して大人になった子供のことは分からなくなるし、年老いた現在の配偶者のことも「見たことがない人」になってしまいます。身近な人の一番最近の姿が分からなくなるともいえます。

▽森川髙司(もりかわ・たかし) 奈良県立医科大学卒業、奈良県立医科大学付属病院で臨床研修医(第2内科)。その後、吉野病院、田北病院内科医長、向山病院副院長などを経て、兵庫県尼崎市に医療法人煌仁会 森川内科クリニックを設立。現在、産業医や校医も務める。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    中日1位・高橋宏斗 白米敷き詰めた2リットルタッパー弁当

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    悠仁さま「学校選抜型推薦」合格発表は早ければ12月に…本命は東大か筑波大か、それとも?

  2. 7

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 8

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 9

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議