医師が患者から教えてもらいたいこととは? 在宅診療の名医が語る
「肩や背中の痛みも、実際には狭心症や心筋梗塞の前兆であることもあります。胆嚢炎や胆管炎については、場所やその痛みの出方が大切で、丁寧にその痛みの場所やどんなときに痛くなるのかを説明する必要があります」
血圧も、診察時の血圧だけで評価され薬を飲み続けるにはリスクがある。家庭血圧計のデータを持参し、可能ならどの時間に高くなるかを示す。また、脈拍情報で薬の選び方も変わる。
「1日1回血圧の薬を飲んでいて、早朝だけ血圧が高くなるのは薬の効果が切れかかっているのかもしれない。なのに朝の薬を増やすと過剰投与になる。高齢者は降圧剤で血圧が下がりすぎてふらついたり、認知症が進行したりする事例もある。家庭血圧計のデータは重要です」
水分や食事の摂取量も医師に正確に伝えたい。患者はよく「食べていない」「水分も取っていない」と言う。しかし、よくよく聞くと、「牛乳や野菜ジュースは水分じゃない」とか「お茶も水分ですか?」などと口にする。これは、心不全の管理にとって危険だ。
「食べていない」という患者も、「若く健康な時代」を基準に話すため、実際には年齢以上に食べすぎている場合も多い。