なぜ、新型コロナの重症者や死者は男性の方が多いのか?
逆に免疫応答が強いが故に、アレルギーなどの自己免疫疾患は女性の方が多いことがわかっています。なぜか。理由のひとつにX染色体不活性化機構が関係していると言われています。
ヒトの体は37兆個の細胞で出来ていて、そのひとつひとつの細胞の中心に染色体があります。染色体は遺伝情報が詰まったDNAを折りたたんだもので、親から子に受け継がれる遺伝情報が収められています。染色体には常染色体と性染色体があり、父親から受け継がれるものと母親からのものが対になっていて、ヒトは23組(46本)あり、性染色体は1対(2本)あります。
性染色体は性別に関わる染色体でX染色体とY染色体があり、通常は男性がXY、女性はXXです。このうちX染色体には自然免疫系遺伝子と獲得免疫系遺伝子が多数存在します。しかし、このままだと男性と女性、つまりオスとメスの間で遺伝子量が変わってしまいます。そこで、女性の2本あるX染色体のうち1本を不活性化する仕組みが備わっていて、これが先述したX染色体不活性化機構なのです。
ところが、この機構には不完全なところがあり、結果として男性よりも女性の方が免疫に関する遺伝子が多く発現するために、女性は男性よりも感染症に強い半面、アレルギーが多いのではないか、と言われているのです。
(弘邦医院院長・林雅之)