野球の「肘靱帯損傷」重症例にはPRP療法をお勧めできない
これまでのコラムで、PRP療法では病気の重症度で効果が異なることをお話ししました。
例えば変形性膝関節症の場合、軟骨損傷の程度が重症なケースでは、PRP療法では改善しないといっても過言ではありません。
では、野球の肘靱帯損傷では? 日本人でメジャーリーガーの選手になった方が何人もいますが、ある選手が肘靱帯損傷で以前PRP療法を受けられたことが報道されています。
肘靱帯損傷の野球選手の投球復帰について、OJSMという雑誌で2021年、MiiLL医師が研究内容を報告しています。この研究はフロリダのアンドリュー研究所が行ったもので、同施設はアメリカでも指折りのスポーツ医学研究所であります。
その内容は靱帯損傷が軽度で、かつ完全断裂であっても1カ所くらいは断裂せずに残っている場合において、PRP療法による復帰率は6割以上。これらの人は、靱帯損傷の手術も回避できました。
一方、靱帯損傷の程度が強い場合にはPRP療法は効果がないということ。以前お話しした膝軟骨損傷のケースと同じですね。