糖尿病の人だけが発症する「糖尿病性認知症」とはどんな病気?
糖尿病性認知症の治療で重要なのは、血糖コントロールです。これまで長年続けてきた生活習慣が影響しているので、同居家族がいる場合には協力してもらいながら食生活の改善や運動習慣を取り入れる必要があります。糖尿病の方は食事が炭水化物中心になっていたり、特に独居の方の場合、夕食を菓子パンで済ますなど食事をおろそかにしがちです。主食を減らして副菜を増やし、栄養バランスの整った食事を1日3食取りましょう。血糖値の急上昇を防ぐためにも野菜↓肉↓ご飯と食べる順番を意識し、間食は控えてください。
また、1回30分の散歩を週3回行い、可能であれば運動教室やデイサービス、スポーツジムに通うなど、活動時間を増やすことも大切です。患者さんによっては経口糖尿病薬やインスリン注射での治療も併せて行う必要がある方もいるので、一度医師に相談してみるといいでしょう。
生活習慣の改善を2週間続けるだけで症状が良くなる方が少なくない。糖尿病性認知症はコントロール可能な認知症なので、糖尿病があり、当てはまる症状があれば一度物忘れ外来を受診してください。
▽羽生春夫(はにゅう・はるお) 1981年東京医科大学医学部卒業、2009年同大学老年病科教授、15年東京医科大学病院副院長を経て、20年から現在の総合東京病院認知症疾患研究センター長を務める。