著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

被災地では「処方箋」が手書きになるため事故が起こりやすくなる

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 多くの場合は、成分の投与量が少なすぎて、薬剤師がおかしいなと気づくのですが、過去にこんな事例がありました。

 抗てんかん薬の「バルプロ酸Na」は、通常は1回に成分量400~1200ミリグラム服用するのですが、この薬は40%顆粒なのです。ちょっとややこしいですが、40%顆粒だと製剤量としては1000~3000ミリグラムとなります。

 医師が成分量としても製剤量としてもありえる量の「成分量1000ミリグラム」を処方した場合、通常なら「製剤量2500ミリグラムである」と処方箋に印刷されるのですが、手書きの場合は「1000ミリグラム」とだけ記載されてしまいます。薬剤師もおかしな量ではないので、気付かずに製剤量1000ミリグラムとして調剤すると、成分としては400ミリグラムしか投与されない、という事故が生じてしまうのです。これが原因となり、患者さんがてんかん発作を起こしてしまったケースを耳にしたことがあります。

 他にも粉薬を計量した後、分包機がない場合は粉薬を1回分ずつ薬包紙という紙で包んでいくのですが、若い世代の薬剤師の中にはやったことがないという方もいます。

 緊急時、モノが当たり前に揃っていない状況でどのように業務を行うか、といった訓練も普段から行うことが大切かもしれません。

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