被災地では「処方箋」が手書きになるため事故が起こりやすくなる
多くの場合は、成分の投与量が少なすぎて、薬剤師がおかしいなと気づくのですが、過去にこんな事例がありました。
抗てんかん薬の「バルプロ酸Na」は、通常は1回に成分量400~1200ミリグラム服用するのですが、この薬は40%顆粒なのです。ちょっとややこしいですが、40%顆粒だと製剤量としては1000~3000ミリグラムとなります。
医師が成分量としても製剤量としてもありえる量の「成分量1000ミリグラム」を処方した場合、通常なら「製剤量2500ミリグラムである」と処方箋に印刷されるのですが、手書きの場合は「1000ミリグラム」とだけ記載されてしまいます。薬剤師もおかしな量ではないので、気付かずに製剤量1000ミリグラムとして調剤すると、成分としては400ミリグラムしか投与されない、という事故が生じてしまうのです。これが原因となり、患者さんがてんかん発作を起こしてしまったケースを耳にしたことがあります。
他にも粉薬を計量した後、分包機がない場合は粉薬を1回分ずつ薬包紙という紙で包んでいくのですが、若い世代の薬剤師の中にはやったことがないという方もいます。
緊急時、モノが当たり前に揃っていない状況でどのように業務を行うか、といった訓練も普段から行うことが大切かもしれません。