「ゆらぎ」で疲れない体を手に入れる…自律神経が整えられる
「われわれが生活している都会は非常に規則的で、ゆらぎを排除する方向で発展してきました。たとえば、オフィスビルにある職場は窓が開かないことも少なくないですし、温度も湿度も照明の明るさも一定です。そんなゆらぎがない環境で仕事を続けていると、疲労がどんどん蓄積していきます。毎日のように同じパターンで同じ行動や作業を続けている場合はなおさらです」
かつて梶本氏は「ゆらぎがある環境」と「ゆらぎがない環境」で、仕事の効率や疲労の程度がどう変化するかを調べる実験を実施している。
9人の被験者に2種類の環境下で4時間にわたってクルマの運転をしてもらい、主観的疲労感(眠気、体感湿度)と客観的疲労度(疲労因子FF、自律神経による疲労評価、作業効率、機能検査)を測定した。
その結果、最適な温度で固定した環境よりも、常にゆらぎを与えた環境のほうが疲労感が少なく、作業効率の低下も抑えられることがわかったという。
「職場でも自宅でも、長時間、同じ場所にいるときはなるべく窓を開けて風を通しましょう。それだけでゆらぎが生まれ、疲れにくくなります。また、集中力が低下して仕事や作業に『飽きた』と感じたら、疲労がたまったサインです。これ以上、脳の同じ部分を酷使させないために、脳が自覚させようとしているのです。そんなときは、いったんデスクから離れて社外を散歩したり、外出できない場合は社内を歩き回ったり、窓から遠くの景色を眺めたりして、同じ作業を続けないようにしましょう。自分でゆらぎをつくって疲労をたまりにくくするのです」
疲労が蓄積されにくい生活を送っていると、質の高い睡眠がとれてさらに疲労は解消される。ゆらぎを活用すれば、疲れない体が手に入る。