麻痺がある側に立ちサポートする「体位保持」で転倒を防ぐ
介護で注意したいのが「転倒事故」だ。2021年までの6年間に消費者庁に寄せられた事故情報のうち、最も多い発生場所は自宅とされている。
「転倒が起こりやすいのは、体勢が最も不安定になる立ち上がりの『途中』や『直後』です。とりわけ脳血管障害や体に麻痺がある患者さんは一日の多くをベッド上で過ごしているので、急に立ち上がるとめまいを起こしやすい。立ち上がったらその姿勢に慣れるまで、いったん支える必要があるのです」
埼玉医科大学客員教授の根津良幸氏はそう話す。
とくに後遺症で麻痺が生じた人の場合、動かなくなった患側(かんそく=障害がある側)を無意識に使おうとして転倒する危険性が高い。
「ケガを防ぐには、相手が座位から立ち上がったら、介助者は麻痺がある患側に横並びで立ち、サポートする『体位保持』が重要です」