「血糖トレンド」が重要…糖尿病の合併症はHbA1cを下げるだけでは回避できない
“真綿で首を絞める病気”とも言われるのが糖尿病だ。今知っておくべきことは--。
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なぜ、真綿で首を絞める病気と言われるのか?
「糖尿病で血糖値が高くても、症状がない。しかし病気は進行し、10年くらいするとさまざまな合併症が出てくる」
こう話すのは、東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授の西村理明医師。
糖尿病の3大合併症として知られるのが、神経障害(足の壊疽)、網膜症(失明)、腎症(人工透析)だ。西村医師はそれぞれの頭文字を取って「しめじ(=キノコのしめじ)」と患者に説明している(網膜症だけは「目」の疾患ということで「め」)。さらには動脈硬化、動脈硬化による脳梗塞・心筋梗塞、認知症、がん、うつ病、骨粗しょう症、歯周病、感染症などのリスクも増大。
それらを起こさないために、過去2~3カ月の平均値であるHbA1cを下げることを目標に治療が行われるが、「1990年代まではHbA1cを下げれば『しめじ』が起こらないと考えられてきました。しかしこの20年でその限界がわかってきたのです」(西村医師=以下同)。