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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

高齢者施設での服薬を昼1回に集約…医療安全の向上につながる

公開日: 更新日:

 日本老年薬学会は、高齢者施設でのポリファーマシー対策を実行するために、「服薬回数を減らし、昼1回に服薬を集約する」とした服薬簡素化を提言しました。

 介護老人保健施設(老健)などでは、施設職員の多い昼の時間帯に服薬を集約することで、マンパワー不足に対してもメリットが期待できるとしています。薬の専門知識がある医師や薬剤師が常駐しない施設では、服薬管理の負担は大きく、国内の高齢者施設において、施設職員の40~50%が服薬介助に負担を感じていると報告されているのです。

 老健で勤務する知り合いの薬剤師に聞いたところ、薬の服用は朝食後に集中していて、朝7時30分から出勤する看護師が1人で40人ほどの服薬介助を担当し、終わらなければ8時から出勤の看護師も手伝っているとのことでした。こういった話を聞くと、朝に薬を飲む患者さんの人数が少し減るだけでも、施設職員の負担を減らすことができるのではないかと思います。業務負担を減らすことにより、誤薬を減らすなど医療安全の向上にもつながるでしょう。

 ただ、注意すべき点もあります。服用回数を減らすことができない薬ももちろんありますし、昼服用に適さない薬もあります。服薬の簡素化は、医師や薬剤師に加え、介助者の意見も聞きながら進めていくべきです。

 今後、労働人口が減っていく中で、ロボットなどの導入も必要になるでしょう。しかし、その前に、いまある当たり前のことをもう一度考え直すのも必要なのかもしれません。

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