デジタル社会どう目を守る(4)「認知症」とつながる目の衰え
認知症は外出や人との交流が少ないとリスクが高まるといわれています。目が見えないと外出が減りますが、視力が改善すれば外出も増え、認知症リスクを減らすことにつながるのです。加藤先生の臨床経験でも、高齢女性が白内障の手術後、認知力が上がった例があるそうです。
転倒と目にも関係があります。米国などの研究では視覚障害があると転倒しやすくなり、そのリスクは2.5倍になるそうです。そのため米国と英国の老年医学会では転倒予防のために白内障の手術を勧めています。
高齢者が要介護や寝たきりになるきっかけに転倒・骨折があり、寝たきり予防にも目の健康は不可欠といえます。
糖尿病や高血圧・動脈硬化も目との関係が深い病気です。
「糖尿病、高血圧の人は眼底出血(目の網膜内の出血)を起こしやすくなります。放置すると視力の低下や失明の危険があるので、これらの病気の治療と並行して眼科で定期的なチェックが必要です」(加藤副会長)
糖尿病網膜症は気づかないうちに進行し、症状が出た時には重症化して手遅れになることもあるそうです。血糖値が高めとわかったら、迷わず定期的な検査を受けたほうがよさそうです。
目の健康は体や心の健康に直結しています。認知症や要介護にならず「元気で長生き」を目指すには目の健康対策(アイフレイル対策)が不可欠です。 =おわり
(医療ジャーナリスト・油井香代子)