認知症の「重症リハ」はどのように取り組めばいいのか
褥瘡(床ずれ)を予防するために、寝た状態から起こして除圧した姿勢で座らせてあげたり、体の節々の痛みを軽減するために全身の関節を伸ばしてあげたり、清潔を保つために体を拭いてあげたり、お風呂に入れてあげたり……。意識があるようなら、屋外に連れ出して季節と快適な空気を感じてもらう場合もあります。
このように認知症の重症リハは、介護=ケアと一体になっているといえます。例として挙げた処置はすべてリハビリでもケアでも実施しますし、お風呂で全身を洗うことも、本人が洗う行為を促すのであればリハビリになりますし、他の人がすべて洗ってあげるとすればケアになります。いずれにせよ、どちらも患者さんが健康的で幸せを感じてもらうために行うのです。
こうした看取り期も含めた重症ケアは、施設でも自宅でも取り組みが必要になります。ただ、重症になってくると介護の負担が大きくなるので、家族がひとりで続けるのは困難ですし、限界があります。ですから、家族が困り果てたり疲弊してしまう前に、われわれ専門家や施設に相談してください。その患者さんの病気を医学的に知り、なぜその症状や状態が現れているのかを理解し、それをどう看護してどんなリハビリやケアに取り組めばいいのか。これを家族の希望に沿って一緒に考えて実践していくことが最善の介護につながります。
次回あらためて詳しくお話しします。